「キャストとして働いていた頃、誰かに話を聞いてもらうだけで救われたことがありました」
そう話すのは、以前キャストとして働き、現在は女性メンターとして相談対応を行う、かなさん。
仕事の流れや給与についてはスタッフから説明を受けられても、お客様から言われた一言、体調の変化、家族や恋人への身バレなど、男性スタッフには話しにくい悩みもあります。
かなさん自身も、働いていた頃は不安をうまく言葉にできず、一人で抱え込んでしまった経験があるそうです。
その経験を生かし、現在は「働く女性が安心して気持ちを話せる場所をつくりたい」という思いで、必要に応じて相談を受けています。
今回は、キャストから支える側へ移ったきっかけ、女性メンターの役割、相談を受ける際に大切にしていることについて聞きました。
かなさんのプロフィール
名前:かなさん(仮名)
年代:30代
経歴:元キャスト
現在の役割:女性メンター・相談担当
相談方法:対面を基本に、電話・LINEにも対応
現在はどのような仕事をしていますか?
かなさん:
現在は、働く女性から相談があったときに対応する女性メンターをしています。
店舗へ常駐しているわけではなく、男性スタッフには話しにくい内容や、女性同士で話したい悩みがある場合に、予定を調整して相談を受けます。
基本は対面ですが、直接会うことが難しい場合は、電話やLINEでお話しすることもあります。
仕事内容を教える立場というより、働き始めたあとに出てきた不安や悩みを整理する役割に近いですね。
以前はキャストとして働いていたそうですね
かなさん:
はい。20代の頃にキャストとして働いていました。
最初からこの仕事に詳しかったわけではなく、短い時間で収入を増やしたいと思ったことがきっかけでした。
応募前は、お客様のことや仕事内容、身バレなど、不安なことがたくさんありました。
面接で説明を聞いても、実際に働いてみなければ分からないこともあります。
接客が終わってから急に気持ちが落ち込んだり、「自分には向いていないかもしれない」と考えたりしたこともありました。
キャスト時代に相談できず、困ったことはありますか?
かなさん:
ありました。
お客様から言われた言葉が気になっても、「こんな小さなことで相談していいのかな」と考えてしまうんです。
仕事の流れや禁止事項については質問できても、
- 接客後に気持ちが落ち込んだ
- 自分だけ仕事が入っていない気がする
- 写真を掲載することが不安
- 今日は出勤したくない
- このまま仕事を続けてよいか分からない
といった気持ちは、なかなか話せませんでした。
誰かから「大丈夫?」と聞かれても、反射的に「大丈夫です」と答えてしまうこともありましたね。
支える側になろうと思ったきっかけは?
かなさん:
キャストを辞めたあとも、以前一緒に働いていた女性から相談を受けることがありました。
話を聞いていると、私が働いていた頃と同じようなことで悩んでいる女性が多かったんです。
相談したからといって、必ずすぐに答えが見つかるわけではありません。
それでも、自分の気持ちを言葉にして誰かに聞いてもらうと、少し落ち着けることがあります。
私自身も、スタッフや先輩に話を聞いてもらったことで救われた経験がありました。
今度は、自分が働く女性を支える側になれたらと思ったことがきっかけです。
女性メンターにはどのような相談がありますか?
かなさん:
内容は本当にさまざまです。
たとえば、次のような相談があります。
- 初めての接客が想像以上に疲れた
- お客様から言われたことが気になる
- 生理や体調について相談したい
- 出勤日数を減らしたい
- 接客人数を調整したい
- 家族や恋人への身バレが不安
- 昼職や学校と両立できない
- 写真やプロフィールの掲載を変えたい
- 男性スタッフへ直接話しにくい
- 一度仕事を休みたい
- 退店するか迷っている
悩みの大きさは、周囲が決めるものではありません。
本人が気になっているのであれば、相談してよい内容だと思っています。
面接や初出勤の対応も女性メンターが行いますか?
かなさん:
いいえ。面接や初出勤時の説明は、店舗の担当スタッフが行います。
最初のお客様への同行や、給与・仕事内容の説明も女性メンターの担当ではありません。
女性メンターは、勤務を始めたあとに出てきた悩みや、男性スタッフには話しにくい内容を相談する役割です。
女性スタッフが常にお店にいて、いつでも面接を担当するという形ではないので、そこは誤解のないように伝えたいですね。
相談を受けるときに心がけていることは?
かなさん:
最初から答えを決めないことです。
たとえば「仕事を辞めたい」という相談でも、本当に仕事そのものを辞めたいのか、出勤日数を減らしたいのか、特定のお客様との接客を避けたいのかで対応は変わります。
まずは、
- 何があったのか
- そのときどう感じたのか
- 今、一番困っていることは何か
- 店舗へ何か対応してほしいのか
- 今は話を聞いてもらうだけでよいのか
を確認します。
相談を受けた側が、勝手に話を大きくしてしまわないことも大切です。
元キャストだからこそ分かることはありますか?
かなさん:
分かる部分はあると思います。
出勤前の緊張、予約が入らないときの焦り、お客様から言われた言葉を気にしてしまうことなどは、自分にも経験があります。
ただ、「元キャストだから何でも分かる」とは思っていません。
同じ出来事でも、感じ方は一人ひとり違います。
私が平気だったことでも、相談している女性にとっては大きな負担かもしれません。
自分の経験を基準にして「そのくらい大丈夫」と言わないようにしています。
男性スタッフとはどのように連携しますか?
かなさん:
女性本人の希望を確認したうえで、店舗として対応が必要な内容を共有します。
たとえば、
- 次回から接客人数を減らしたい
- 勤務時間を短くしたい
- 特定のお客様を案内しないでほしい
- 写真の掲載方法を変更したい
- 連絡する時間帯を変えたい
- 一度出勤を休みたい
といった内容は、実際の勤務方法を変更する必要があります。
女性メンターが話を聞くだけでは環境は変わらないため、必要な場合は店舗スタッフへつなぎます。
ただし、本人が誰まで共有してよいと考えているのかは、事前に確認します。
相談内容は秘密にしてもらえますか?
かなさん:
ほかのスタッフへ知られたくない内容がある場合は、最初に伝えてもらえます。
できる限り本人の希望に配慮して取り扱います。
一方で、安全に関わることや、お客様への対応、勤務条件の変更など、店舗が動かなければ解決できない内容もあります。
その場合は、必要な範囲で共有することがあります。
「相談した内容がすべて広まる」ということではなく、何を誰へ伝える必要があるのかを、本人と確認しながら進めることが大切だと考えています。
初出勤後にはどのような相談が多いですか?
かなさん:
「思ったより疲れた」という相談は多いですね。
仕事の説明を聞いて理解していても、実際に接客してみると、身体や気持ちの疲れ方は想像と違うことがあります。
たとえば、
初日は4件接客できたけれど、次回は3件にしたい
接客の間に休憩を入れたい
次回は短い時間から始めたい
といった相談です。
初日に何件できたかより、自分が無理なく続けられるペースを知ることの方が大切です。
予約が入らないことに悩む女性もいますか?
かなさん:
います。
周囲の女性と比べて、「自分だけ仕事が入っていない」と感じてしまうことがあります。
ただ、予約状況は出勤日や時間、お客様の希望によって変わります。
一度予約が少なかったからといって、その女性に魅力がないという意味ではありません。
写真の掲載方法やプロフィール、出勤時間について見直せる部分があれば、スタッフと相談できます。
一人で「自分は選ばれない」と決めつけないでほしいと思います。
お客様からの言葉で落ち込んだ場合は?
かなさん:
無理に気にしないようにする必要はありません。
傷ついたのであれば、まずはその気持ちを認めてよいと思います。
すべてのお客様と相性が合うわけではありませんし、一人の言葉がその女性の価値を決めるわけでもありません。
お客様の言動に問題があった場合は、店舗へ共有することも必要です。
「自分が我慢すればよい」と考えず、気になったことは接客後に伝えてください。
生理や体調についても相談できますか?
かなさん:
もちろんです。
生理、腹痛、疲れ、睡眠不足などは、男性スタッフへ詳しく話しにくいと感じる女性もいます。
大久保 制服向上委員会では、生理期間中は勤務を休む運用です。
当日に生理が始まった場合も、店舗へ連絡すれば休めます。
勤務中に体調が悪くなった場合は、休憩や早退について相談できます。
予約が入っていても、お客様への連絡は店舗が行います。
体調を崩してまで無理に働くことが、長く続けることにつながるとは思いません。
身バレへの不安には、どのように対応しますか?
かなさん:
誰に知られたくないのか、どの場面を心配しているのかを確認します。
家族、恋人、昼職、学校の知人では、必要な対策が違います。
写真については、
- 顔を出さない
- 首から下だけを掲載する
- モザイクやスタンプで加工する
- 掲載する媒体を限定する
- 写真を掲載しない
といった方法があります。
店舗からの連絡も、LINE・電話・メールから選び、連絡を避けたい時間帯を指定できます。
ただし、どのような対策をしても、身バレの可能性を完全にゼロにすることはできません。
その点も含めて、本人が納得できる方法を一緒に考えます。
働きやすいお店とは、どのようなお店だと思いますか?
かなさん:
給与が高いことだけではなく、女性が自分の希望を言えるお店だと思います。
- 対応できないことを伝えられる
- 疲れたときに休憩できる
- 勤務時間を変更できる
- お客様について気になったことを共有できる
- 写真やSNSを強制されない
- 辞めたいときに退店を妨げられない
こうしたことを、実際に言葉にできる雰囲気が大切です。
制度として「相談できます」と書かれていても、相談したときに嫌な顔をされたら話しづらくなります。
普段から話しやすい関係をつくることが必要だと思っています。
支える側になって難しいことは?
かなさん:
相談者が望んでいることと、店舗として必要な対応の両方を考えることです。
ただ話を聞いてほしい場合もあれば、すぐに勤務方法を変える必要がある場合もあります。
本人の気持ちを置き去りにして、店舗側の都合だけで話を進めないようにしなければなりません。
反対に、安全に関わる内容を「秘密にしてほしい」と言われた場合は、女性メンターだけで抱えることもできません。
どこまで共有する必要があるのかを、丁寧に説明することが難しく、重要な部分だと感じています。
女性メンターとしてやりがいを感じる瞬間は?
かなさん:
相談した女性から、
話したら少し楽になりました
次の出勤は無理のない時間に変更できました
自分から断ってもよいと思えるようになりました
と言ってもらえたときです。
すべての問題をすぐに解決できるわけではありません。
それでも、自分の希望を言葉にできるようになることは、とても大きな変化です。
女性が「ここなら話しても大丈夫」と思える場所をつくることが、私の役割だと思っています。
これから応募を考えている女性へ伝えたいことは?
かなさん:
応募前に不安になるのは、自然なことです。
仕事の内容も、お客様のことも、実際に経験するまでは分からない部分があります。
だからこそ、求人に書かれている給与だけでなく、
- 具体的な仕事内容
- 対応しなくてよいこと
- 給与から差し引かれる費用
- 写真やSNSの扱い
- 困ったときの連絡方法
- 退店方法
まで確認してほしいです。
応募したからといって、その場で働くことを決める必要はありません。
説明を聞いて一度持ち帰ることも、辞退することもできます。
働き始めたあとも、一人で悩み続ける必要はありません。
男性スタッフへ話しにくい内容がある場合は、女性メンターへの相談を希望していると伝えてください。
MILIA編集部より
かなさんが支える側として大切にしているのは、女性の代わりに答えを決めるのではなく、本人がどうしたいのかを一緒に整理することでした。
風俗の仕事では、仕事内容や給与だけではなく、接客後の気持ち、体調、家族や昼職への身バレなど、周囲へ話しづらい悩みが生まれることがあります。
大久保 制服向上委員会では、女性スタッフが常駐しているわけではありません。
また、女性メンターは面接、初出勤時の説明、最初の接客への同行を担当しません。
勤務開始後に男性スタッフへ話しにくい悩みがある場合、必要に応じて女性メンターとの相談を調整します。
基本は対面での相談ですが、難しい場合は電話やLINEも利用できます。対応日時は固定されていないため、まず店舗スタッフへ相談希望を伝えてください。